小学校の時、漫画映画<西部少年チャドリ>(MBC)が好きでよく見た。米国西部開拓時代に韓国人
少年が父親を探す冒険談を描いたもので、自分の息子とも知らずにチャドリに会った父がチャドリ
に言葉では「テコンドーを教える」と言いながら対練するが、背負い投げなど柔道であった。‘あれ
は何だったのか’と気になったが、しばらく後で‘チャドリ’の実名が‘イサム’、国籍は日本というこ
とがだいぶ後に分かった。（訳注：日本漫画『荒野の少年イサム』（川崎のぼる画）のアニメ版）

私と同世代はマジンガーZ、鉄人28号、バベル2世など今の‘アベンジャーズ’の様な子供の英雄
がすべて‘日本のもの’という事実を知ることになる「ある瞬間」があっただろう。その当惑といった
らない。大人たちは子供たちに日本漫画をコピーしても、‘日本のもの’とは言わなかった。
<バベル2世>マンガ本の表紙には‘文・絵キム・ドンミョン’と記されていたが架空の人物だった。
教科書を通じて‘克日’を教えていたので、子供たちに日本のものと言えなかったのだろう。日本
はこのように敏感な存在だ。

日本の安倍晋三総理が日本の敗戦70年をむかえて‘安倍談話’を発表したが、安倍は‘謝らなか
った’。学校暴力で例えるなら、殴られてまだ目の周囲に血豆が真っ青に残っているが、殴った学
生はちゃんと謝罪もせず、その上、羽振りが良くて良い暮らしをしていたら、どうして傷がいえるだ
ろうか？私たちは日帝侵略の結果として分断され、日本は相変らずうまくやっている。日本が過去、
私たちを傷つけたモンゴルや清国のように滅びていれば、私たちの傷も自ずと少しは癒えたかも
しれない。

安倍が慰安婦問題で謝った言葉が「戦争中に名誉に深い傷を負った女性たちがいる事を忘れて
はならない」だ。安倍はなぜ謝罪できないのだろうか？‘前の総理が謝った’という言葉は、‘謝っ
たのでもうさらに謝罪しなくても済む’という意味なのか、‘前の総理はしたが、私はできない’とい
うことか。

安倍の母方の祖父、岸信介は第二次大戦当時、東条英機内閣の商工部長官で、太平洋戦争開
戦に署名した人物のひとりだ。第二次大戦後、A級戦犯として3年間獄中生活をして1948年に
釈放される。政界に復帰して保守単一政党、今日の自民党(自由民主党)を作り、1957年、総理に
就任する。安倍の父親は1980年代に外相になった。私たちと同じように日本もやはり過去が清算
されなかったので‘謝罪’が難しいということだ。

第二次大戦枢軸国はドイツ、イタリア、日本だ。敗戦後、ドイツ国家元首アドルフ・ヒットラーは恋人
エバ・ブラウンと共に拳銃自殺し、イタリアの国家元首ムッソリーニは逃げて遊撃隊に捕えられて
処刑され死体がミラノのロレート広場に逆さにぶら下がった。日本の国家元首、王ヒロヒトは万寿
を享受して1989年に八十八で亡くなった。

ドイツのヴィリー・ブラント総理がポーランドのユダヤ人犠牲者慰霊塔の前にひざまずいて、ナチ
残党らを数十年過ぎても地球の果てまで追いかけ法廷に立たせるのはドイツ人が日本人に比べ
て格別に良心的なわけではなく、過去の勢力と断絶したためだろう。過去が清算されないまま立
てられた日本は今も過去から自由ではない。

こういう理由で、李承晩（イ・スンマン）の‘国富どうする’という動きに決して同意できない。イ・スン
マン元大統領が初代大統領であり、一時独立運動をしたのは明らかだ。しかし、彼は何より自身
の政敵である金九（キム・グ）を抑制するために親日清算しないまま親日派を取り込み、私たちは
今も‘親日派の国’から自由ではない。映画<暗殺>で主人公アン・オクユンは「16年前、(キム・グ
先生ができなかった)任務を今実行します」と言って親日派、ヨム・ソクジンを処断する。映画だ。
しかし、「70年前の任務」を私たちはいつ実行するのだろうか？

クォン・テホ政治部長



ソース：ハンギョレ新聞(韓国語) [編集局で]親日派の国、韓国と日本/クォン・テホ
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/704604.html