今月10日、記者は忠清南道泰安郡の安眠島近くにあるナマコ加工業者G社を訪れた。G社前には午前中、西海（黄海）から揚がった
ばかりのナマコ1.2トンがバケツ50個に入れられた状態で到着した。直径4－5センチ、長さが15－20センチになる立派なナマコがバケツ
の中で動いていた。これは中国遼寧省丹東市に輸出される高級ナマコだ。泰安周辺のナマコ漁場には、潜水士を装ったナマコ泥棒の
出没を防ぐため、熱監視カメラが24時間作動している。

　しかし、地元漁村の互助会長、オ・インソクさん（50）の表情は曇りがちだった。オさんは「昨年下半期からナマコの価格が少しずつ
下落していたと思ったら、今年に入ってさらに値下がりが目立つようになった」と話した。オさんによれば、昨年は一次加工済みのナマコ
価格が1キログラム当たり20万－24万ウォン（約2万－2万4000円）だったが、現在は14万－15万ウォン（約1万4000－1万5000円）まで
下落しているという。昨年は1キログラム当たり5万－7万ウォン（5000－7000円）の利益が出たが、現在は売れば売るほど赤字が出る
状況だ。

■接待禁止のあおり

　韓国西海岸で輸出用ナマコの価格が暴落したのは、中国の習近平国家主席が展開する「腐敗撲滅キャンペーン」による影響が最も
大きい。

　中国政府や公安当局が最近、官僚の汚職や豪華接待を大々的に取り締まった結果、スイス製時計、高級洋酒と並んで、ナマコの
輸出も打撃を受けている。オさんは「中国でナマコはサルの脳みそ、フカヒレと並ぶ三大珍味に数えられる。中国当局が豪華接待を
厳禁した余波で、ナマコの輸出量と価格が落ち込んでいる」と嘆いた。

　実際に中国人は毎年、全世界のナマコ消費量の90％（約120万トン）を消費している。韓国産ナマコは、ゆでると破裂してしまう
アフリカ産や東南アジア産とは違い、突起がはっきりしているほか、肉質がよいため、高級品として扱われている。

　中国のナマコ業者は、韓国産ナマコを輸入、乾燥加工後、1キログラム当たり400万ウォン（約40万円）で販売する。韓国海洋水産部
（省に相当）がナマコを10大輸出戦略品目に指定するほど、中国では人気を集めているが、中国政府が「腐敗との戦争」を宣言して以降、
中国の輸入業者からの引き合いが途絶えた。海洋水産部水産情報ポータルによると、今月11日現在で、韓国全土のナマコ価格（1キロ
グラム）は4822ウォン（約484円）で、前年同期を約45％下回っている。

　ナマコの加工過程を視察しに来た中国のナマコ業者はLさんは「韓国からナマコを毎年5トン輸入し始めて4年になる。昨年は12億ウォン
（約1億2000万円）で買い付けたものを今年は7億5000万ウォン（約7500万円）で仕入れられそうだ」と話した。

　これまで幹部公務員への贈答用として人気だった「ナマコギフトセット」の需要が習近平政権発足後に急減しており、中国国内での
取引価格も急落したという。泰安南部水協（漁協）のカン・ハクスン組合長（58）は「価格下落と同時に輸出量も減少した。今年の輸出額
は前年比で15％以上減少するとみられ、心配している」と話した。

■輸出先の多様化と国内向け出荷促進

　現地漁民はナマコの対中輸出不振が長期化することに備え、新たな流通網構築など妙案を探っている。漁民らは香港、台湾、米国
などへの輸出を増やす方策のほか、韓国での国内消費促進を目指している。泰安の一部ナマコ業者は、今年4月から国内の
大型スーパーマーケットでのナマコ販売を開始した。

　ロッテマートの担当者は「高級ナマコを4月から相場より40％安い値段で7トン販売した。ナマコの消費を増やすには、さまざまな料理法
の開発も必要だ」と指摘した。

ソース（Yahoo・朝鮮日報）　http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140612-00000892-chosun-kr