1: まぜるな!キケン!! 2022/11/16(水) 13:59:01.40 ID:QvbelRWk
 梨泰院(イテウォン)惨事の写真を1面に掲載した米国ニューヨーク・タイムズ紙は、「確実に防ぐことができた」(absolutely avoidable)と報じた。ここで惨事を防げなかった主体は、政府、すなわち国家だ。(セウォル号惨事の現場近くにある)珍島(チンド)の彭木(ペンモク)港の防波堤には、全国各地の生徒が描いたタイル壁画があるが、そのうちの一つのタイル壁画にはこのように書かれている。「国があったのに…」

 梨泰院参事と国家の不在は、韓国の民主主義の退行と軌を一にしている。政治学者のナンシー・ベルメオは、合法的に選出された執権者が、民主的な手段を活用して民主主義の価値や規範、作動原理を少しずつ侵食していく現象を、民主主義の退行と呼んだ。その特徴的な兆候は、行政府の権力増大と野党締めつけだ。行政府の権力の恣意的な行使を牽制する立法府と司法府を弱体化させ、政敵である野党を腐敗集団または悪の群れだとする枠組みをかぶせ、捜査・起訴というマニュアルを積極的に活用する。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、警察、検察、監査院など抑圧的な国家機関を動員し、野党締めつけに余念がない。トランプも政権就任後の1年間に行なったことは、オバマ政権の業績をひっくり返すことだった。尹錫悦政権が現在までに行なったことも、忘れた頃に出てきた大統領説話と、文在寅(ムン・ジェイン)政権への非難、政策のひっくり返しではないだろうか。警察、検察、監査院などの国家機構を動員して野党を苦しめ、ドイツ・モーターズ株価操作事件などには公権力を使わないことに決めたようにみえる。どのようなことをするより、何もしないことのほうがより大きな権力である場合もある。

(中略)

 韓国の民主主義は退行している。国家権力は選択的に行使され、国家が当然しなければならない義務を放棄している。国家権力が、権力分立と牽制とバランスを中心とする立憲主義と自由民主主義を徐々に壊していくことに使われている。尹錫悦大統領の最愛の単語である「自由」は、国家権力の恣意的な行使から市民を保護することが重要である。すなわち、自由民主主義の「自由」だ。高校生が描いた漫画「尹錫悦列車」に“厳重警告”した文化体育観光部長官は、自由と自由主義に向かって厳しく警告したということだ。

 民主主義の政治体制は責任性の体制だ。立法府と司法府の牽制に行政府の権力が責任を負う水平な責任性が一つの軸であり、市民と有権者に責任を負う垂直の責任性がもう一つの軸だ。ところが、尹錫悦政権には国会に責任を負うという概念自体がないようにみえる。だからといって市民と有権者に責任を負うという姿勢はあるのだろうか?

 政治学者ダニエル・カラマニは、現代民主主義に対する2つの脅威として、ポピュリズムと専門技術官僚主義を挙げている。市民の信託委任(トラスト)を得た専門技術官僚主義(expert technocracy)が民主主義に脅威になりうる理由は、権力者にだけ成果を示し、評価を受ければ十分で、市民の要求と民意に応じなければならない理由はないと考える集団だからだ。しかし民主主義は、政治学者ロバート・ダールが言及したように、政治的に同等な市民の要求に政府が応じ続ける体制だ。

 裁判官出身で「法律専門家」の行政安全部長官、施行令政治の法理的な根拠を強弁する検察官出身で「法律専門家」の法務部長官、最高裁で報復起訴とみなされ公権力の濫用を指摘されながらも権力の中心に抜擢された、検察出身で「法律専門家」の大統領室関係者、「政・経・官」癒着の象徴で「経済専門家」の首相、そして、「腐敗捜査専門家」の大統領をみると、専門技術官僚主義の脅威がこの国で現実化したのではないかと思うようになる。惨事について、犠牲者について、国民の生命と安全を保護できなかったという点について、公的義務と責任を果たせない専門技術官僚出身者たちは、自分たちにその責任があるという民主主義の基本原理に対する理解がない。今、そのような人たちによって統治されることで、韓国の民主主義は退行している。

クォン・ヒョギョン|高麗大学政治外交学科教授兼政治研究所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

11/16(水) 13:14配信
ハンギョレ新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/222572aea6920aa652002369c0350b79690799da

引用元: ・【ハンギョレ】[寄稿]国家の不在と韓国の民主主義の退行 国家が当然しなければならない義務を放棄 [11/16] [新種のホケモン★]

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