＜イ・ドウン論説委員＞

障礙（障害）を持つ人を政府が初めて公式に規定したのは、1981年であると見て取れる。その年に国連の勧告によって『心身礙害者福祉法』が制定され、障礙者（チャンエヂャ）という呼称が使われた。障礙者は労働者、教育者、患者などと同様に、障礙に漢字の接尾辞である『者』をつけた日本式の表現である。障礒礙者の語感が良くないという批判が出て、1987年に関連法を『障礙人福祉法』に変え、この時から障礙人（チャンエイン）という用語が使われた。

筆者は2000年を前後して、障礙人団体から2回ほど連絡を受けた。1回目は報道資料に出ていた障礙者という表現を何気なく使っていたのだが、「障礙友（チャンエウ）と表現してほしいが、そうでなければ障礙人という表現でも使ってほしい」と述べた。2回目はマスコミのサッカー大会で膝を怪我した経験を『10日間の障礙者体験』というタイトルのコラムを書いたのだが、やはり団体から「障礙友という表現も使ってほしい」と伝えて来たのである。

障礙友は『友（ウ）』をつけて、少々親しく呼ぶ言葉。障礙人が社会から隔離されないよう、共に暮らしていくべき隣近所という意味も込められている。ところが障礙人が自らを友だちと指称したり、また年長者（目上の者）を友だちと呼んだりして、恥ずかしい側面などがあったという。また、障礙人の主体性を阻害する同情的、恩恵的な意味になる恐れがあるという批判も出た。これに対して保健福祉部では、2015年に障礙者、障礙友ではなく、障礙人で統一して呼ぼうというキャンペーンを始めたという。

国民の力のユン・ソクヨル大統領選候補が去る13日、党中央選挙対策委員会・障礙人福祉支援本部の出陣式で、『障礙友』という表現を2度ほど使って与党からの批判を受けた。共に民主党のチ ン・ヨンギ選挙対策委員会報道官は、「障礙人と家族の胸に短刀を突き刺す妄言」と述べ、正義党のオ・ヒョンヂュ報道官は、「障礙人に対する優越意識と恩恵的視線をあらわにした」と述べた。急に氷点下7度まで下がった寒さの中、室外行事に参加した障礙人たちに『親近感』を表現したものが、これほどまでに批判を受けることだろうか。

共に民主党のイ・ヂェミョン候補は2017年3月、脆弱層（低所得者層）への公約を提示しながら障礙友を使い、チュ・ミエ元法務部長官も全国礙人委員会発足式の祝辞で同じ表現を述べた。二人とも優越意識を誇示しようとしたのではなく、尊重の気持ちを込めて障礙友と呼んだと思う。

ソース：文化日報（韓国語）
http://www.munhwa.com/news/view.html?no=2021121701033811000001